アートにおける百貨店ビジネスについての考察

最近百貨店でアートを取り扱うことが多くなってきたと肌で感じるので、百貨店ビジネスについての考察をここに書き留めておく。

 

最初に私のことを知らずしてこのページに辿り着いた人に簡単に自己紹介をする。

 

私は絵描きをしていてこのブログは主に絵関係のことを書いている。


が、実は百貨店に出店しているメーカーに勤めてもいる。( 業界はアートとは違う)
ので、 全くの門外漢よりは百貨店のビジネス事情について詳しいのではないかと思う。
(ギャラリーで個展していると専業画家と思われることもあるが、 フルタイムで働いている兼業画家である)

 

百貨店のビジネスについて結論から言うと


百貨店ビジネスは斜陽である


と、思う。

 

なぜか?


みなさんも言われたら思い出すかもしれないが、 百貨店閉店のニュースを見たことあるのではないか。
そう、百貨店って潰れなさそうなイメージなのだが、 けっこう潰れていたり統合していたりする。

 

■統合された百貨店
2003年:そごう+西武百貨店(そごう・西部) 統合
2007年:大丸+松坂屋(Jフロントリテイリング) 統合
2007年:阪急百貨店+阪神百貨店 (H2Oリテイリング)統合
2008年:三越+伊勢丹 (三越伊勢丹ホールディングス)統合

 

統合していない百貨店⇒髙島屋


■閉店した百貨店
2021年:東急百貨店 渋谷 本店
2021年:小田急百貨店 新宿店本館
2020年:松屋 東京丸の内


東京方面のメジャーな百貨店を抜粋したが、 地方の百貨店はもっと閉店していることが多い。

 


なぜ百貨店ビジネスが斜陽だと思うか。


■不景気

根本的に日本全体が不景気で百貨店で買うような高い買い物はしない。

働いていても給料上がらないし。。

 

■モノ・コト主義
ものを買って所有することよりも体験することにシフトしている。

 

■買う場所の多様化
百貨店で買わなくても、メーカーの直営店や通販でも買える。
メーカーが運営する通販じゃなくても
楽天やYahoo、アマゾンでも買える。
楽天などのサイトから購入した方が他のものにポイントが使えて便 利かもしれない。
(あなたにも思い当たる節があるのでは?)

 

コロナ禍で百貨店も通販に力を入れでしたが思うような効果は得られてないのでは??

 

価値があるのは百貨店で買ったという証明になる百貨店の包装紙や 紙袋かもしれない。。

 

と、言うわけで百貨店ビジネスは斜陽であると思う。

 


では、

百貨店はどういった対策をしているか?

 

その前に百貨店の希望を考えると・・・


百貨店は他の店舗や通販にお客さんを取られないように、


実店舗に来てほしい
    +
安定した収入がほしい

 

 

■対策その1

 

「百貨店らしさ」
北海道物産展などの催事場での催事や各階での小さめの催事などを開催する。

 

催事場する催事
私の住まいは関西圏なので遠い北海道の物産展などは北海道に行かずして現地の特産物が買えるので人気である。

 

各階での小さめの催事
地元の有名な小売店を集めてイベントをする。
→小売店からすると百貨店に出店した実績がつく。
→客からすると有名店を一店舗ごとに回らずに百貨店で買えるので便利(味も百貨店バイヤーのお墨付き)


■対策その2

 

「百貨店という権威のある場所を貸している」

 

画廊やイベント企画会社に場所貸ししている。
そうすることで一定のお金が入ってくる。
百貨店の中に東急ハンズユニクロポケモンセンターが入っているのはテナント収入が見込めるからである
(百貨店にユニクロかぁと思ったことがある人はいないだろうか? )


もしかしたらテナント料に追加してさらに売上からマージンも取っている のかもしれない。

 

 

最近百貨店でアートの展示をしていることが多くなってきたと感じている。
それは百貨店がテナント貸しを始めたからである。


で、アートと百貨店は相性がいいのだと思う。


百貨店=高級=アート

みたいな。


(アートは基本的にお金に余裕のある人が購入するものである)


そして、アートはだいたい一点物である。
これも他の店舗にお客さんが流出しないよい理由である。

 

また、著名な画家の展示で人を呼んでもらう、 画家本人に宣伝してもらう、来た人に宣伝してもらう、その人が百貨店でついでに買い物したり、ご飯を食べたりする( そういうのをシャワー効果という)のが狙いである。

 


百貨店は斜陽であると伝えたが、 アート業界ではもう少しいけるんでは?と思ったりする。

 

百貨店事態は斜陽かもしれないが、それは他の業界でも言えることだし、新規で参入してきたギャラリーやイベント企画会社にとってはチャンスである。

ここで儲けるかどうかは本人次第の力量なのだ。

 

 

もう一つの理由は、
アートとは高級なものであるから

そして、 百貨店に買い物しに来るお客さんにはお金がある。

 

ただそれが10年20年続くかは分からない。
百貨店の主要な購買年層は50代以降ではないかと思う。
その年代がいなくなった場合にどうなるのか?
( その対策としてポケモンセンターなどを設置して購入層の若返りを狙っている)


また、富裕層が一極集中になっている。
日本は資本主義だがお金のある所にお金が集まるようになっている 。
( お金持ちになりたいのであればお金持ちの子供に生まれるのが一番の近道である)


今の金持ちはバブルの名残があるのでゴッホのヒマワリを所有することにステイタスを感じる人もいるかもしれないが、
その子供たちが絵画を所有することにステイタスを感じるのか?
もしかしたらそういった絵画よりも現代美術を(資産として) 所有する方に興味があるかもしれない。し、 アートを購入すること自体にステイタスを感じることがないかもしれない。

 


以上が私が最近感じるアートにおける百貨店ビジネスについての考察である。